旬の特集
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文書作成日:2018/05/24

 今国会では、働き方改革関連法案が審議されていますが、法案の元となっているのが、内閣府「働き方改革実現会議」が平成29年3月に策定した「働き方改革実行計画」です。この働き方改革実行計画で示されている働き方改革の実現のための対応策には、法改正が必要なものの他、各種ガイドラインの策定等により進められるものもあります。今回は、対応策のうち、注目される3点についてとりあげます。


 これまで多くの企業が就業規則で、従業員の副業・兼業を認めないという取扱いを規定していました。一方で、副業・兼業を希望する人が増加傾向にあることや、離職せずに副業・兼業を行うことでその経験が本業にプラスとなったり、従業員が主体的にキャリア形成をすることができること等のメリットから、政府は副業・兼業の促進へと考えを転換しました。そして、会社や労働者が現行の法令の下でどのような事項に留意すべきかをまとめた「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が策定され、平成30年1月に公開されています。
 このような流れから、すでに副業・兼業を認める動きが一部の会社でみられますが、副業・兼業を認める際には、副業・兼業の形態(起業・雇用)、副業・兼業を行う日数や時間、企業秘密の漏えいや長時間労働を招くものとなっていないかなどを確認する観点から、副業・兼業先の職務内容等を確認する方法を決めておく必要があります。これらを決定した上で、就業規則においても副業・兼業を禁止する規定を変更したり、新たに副業・兼業を認める旨の規定を追加する必要があります。ちなみに、平成30年1月に厚生労働省が公開したモデル就業規則では、以下の規定になっています。

(副業・兼業)
第67条
 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
(1) 労務提供上の支障がある場合
(2) 企業秘密が漏洩する場合
(3) 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
(4) 競業により、企業の利益を害する場合

 このモデル就業規則はあくまでも一例に過ぎないため、副業・兼業の考え方を自社でまとめ、規定に盛り込んでいくことが重要となります。なお、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の補足資料として、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」Q&Aがまとめられているので、検討の際には事前に目を通しておきたいものです。

■参考リンク
厚生労働省「副業・兼業」

 


 これまでは、仕事をするときは会社に出社し、職場で仕事をすることが当然のことでしたが、情報通信技術の発展に伴い、仕事をする場所の制約がなくなり始めています。一方で、子育てや介護と仕事の両立が社会的な課題となり、情報通信技術を利用して時間や場所の制約にとらわれることなく働くことができるテレワーク(在宅勤務など)が課題解決のための一つの手段とされています。実際に、平成30年2月には、以前からあった「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」が改定され、「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」が策定されました。
 このガイドラインでは、労働基準関係法令の適用及び留意点等がまとめられており、労働時間制度としては、通常の労働時間制度(フレックスタイム制を含む)のほか、事業場外みなし労働時間制、裁量労働制も条件に合致すれば制度の導入ができるとし、留意点を掲載しています。その他にもいわゆる中抜け時間への対応、休憩、時間外労働・休日労働の取扱い等、職場で仕事をする従業員においてはそれほど問題とならない点についても、対応にあたっての注意喚起をしています。
 テレワークを導入するときには、通勤時間が大幅に削減されることによる生産性の向上が、会社・従業員双方のメリットとなることが期待されています。活用する際には従業員の自由度をどの程度、認めながら運用していくのかを決めた上で、進めていく必要があります。

■参考リンク
厚生労働省「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」

 


 長時間労働対策は社会的に大きな問題となっていますが、長時間労働が問題視される最大の理由は、心身の不調につながることです。その対策として、当日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定の休息時間の確保をする勤務間インターバル制度の導入が注目されています。
 厚生労働省では、すでに以下のような規定例を公開しています。勤務間インターバル制度は働き方改革関連法案に努力義務として盛り込まれてはいますが、現状、措置義務化される予定はなく、対象とする従業員やインターバルの時間数等、会社が自由に設定することができます。実効性のある取組みと言われているため、長時間労働となっている会社では、導入の検討をお勧めします。

【A.休息時間と翌所定労働時間が重複する部分を労働とみなす場合】
(勤務間インターバル制度)
第○条
 いかなる場合も、労働者ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、○時間の継続した休息時間を与える。(ただし、災害その他避けることができない場合は、その限りではない。)
2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、当該始業時刻から満了時刻までの時間は労働したものとみなす。

【B.始業時刻を繰り下げる場合】
(勤務間インターバル)
第○条
 いかなる場合も、労働者ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、○時間の継続した休息時間を与える。(ただし、災害その他避けることができない場合は、その限りではない。)
2 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、翌日の始業時間は、前項の休息時間の満了時刻まで繰り下げる。
※A・Bともに第1項の( )内は、災害その他避けることができない場合に対応するため例外を設ける場合の規定例

 なお、中小企業には、勤務間インターバル制度の導入に際し、「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」がありますので、助成金を活用しながらの導入も考えることができます。

■参考リンク
厚生労働省「勤務間インターバル普及のための取組」

厚生労働省「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」



 働き方改革実行計画には、9つの検討テーマがあり、そこから19の対応策が掲げられています。法改正により対応が必須となるものもありますが、その他の内容にも目を向け、取組みを進めていきたいものです。

■参考リンク
厚生労働省「「働き方改革」の実現に向けて」

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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